予防歯科の基礎知識
プラークとは
歯周病の原因で あるプラーク=歯垢は、どんな悪さをするのでしょう。人の体には、何百種類もの細菌がすんでいますが、これらの中には健康を保つために必要な細菌もいま す。しかし、プラークは違います。歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に入り込んで、ポケットを広げて、炎症を起こさせるからです。プラークの中でも、嫌気性 菌という酸素のないところで活発に活動する悪玉菌は、重度の歯周病に多く見られます。この悪玉菌は、歯周ポケットに住み着いて奥の方でぬくぬくと育ち、た ちまち歯を支えている骨を溶かしてしまいます。ちなみに、炎症はプラークという有害物質を排除しようと体が抵抗するために起こります。
バイオフィルムって?
バイオ フィルムは複数の細菌が集まって作られる粘性のある膜のことです。単体の細菌とは全く違う性質で、自然界のいたるところで見られます。例えば身近なところ では台所の流しにある三角コーナー。三角コーナーを汚れたまましばらく放っておくと、周囲にヌルヌルとしたものが付着しますが、これもバイオフィルムで す。
これらは全て水中で細菌が繁殖しバイオフィルムを形成したもので、水で流しただけでは取れず、こすり洗いしてようやく取り除けるほどビッシリと付着しています。
どうしたらバイオフィルムを除去できるの?
バ イオフィルムは約2ヶ月で新たに形成され始めます。おうちでできるセルフケアでは、ブラッシングをきちんとすることで、歯ブラシの毛先でバイオフィルムを 除去することができます。ブラッシングでは届かない歯と歯の間や、歯と歯茎の間のバイオフィルムの除去は、歯医者さんでのプロフェッショナルケア (PMTC)が必要です。
歯周病の原因は?
歯周病の直接の原 因は、歯や歯茎のまわりにつく歯垢=プラークです。これは、食べ物のカスや「細菌などで作られるネバネバしたかたまりで、バイオフィルムとも呼ばれます。 さらに、歯磨きの磨き残しなどでこの歯垢が固まると歯石に変身します。つまり、磨き残し→プラークが付く→歯石になる→歯周病となるわけです。しかし、こ れには個人差があり、遺伝や体質が関係しています。
遺伝的な要素としては、病気への抵抗力が挙げられます。具体的には、若い頃から歯茎の状態が悪かったり、両親のどちらか一方が歯周病で歯を失ってい た・・・という方は、症状が進むのが早い可能性があります。ただしこれは、歯周病患者の1割程度だと言われています。逆に言えば、9割の方は日ごろのケア で予防ができるということです。